「掃除の心」が教えてくれた、本当に心地よい家づくりとは

2025年9月17日

皆さん、こんにちは
東陽住建の中井義也です。

先日、私たちは名古屋の街頭で行われた清掃活動と
いつもお世話になっている協力業者の皆さんと組織する
「東陽住建友の会」のメンバーと共に
建築現場の清掃活動を行いました。

また、これは特別な活動というわけではなく
私たちは毎朝、会社の前の道路を掃除することを
日課としています。

「なぜ、掃除をするのか？」

それは、単に街を綺麗にするため
現場を綺麗にするためだけではありません。

そこには、私たちが最も大切にしている
「家づくり」の哲学と深く通じる
ある大切な“心”が隠されています。

「汚れ」を「引き受ける」と決める覚悟

掃除という行為の本質をいつも考えます。

目の前に落ちているゴミを拾う。
積もったホコリを拭き取る。

一見すると、それは単純な作業の繰り返しです。
しかし、私たちは掃除をするとき、
心の中で一つの決断をしています。

それは、「そこにある汚れを、自分が引き受ける」
という静かな覚悟です。

誰かが捨てたゴミも、自然に溜まった落ち葉も
見て見ぬふりをすれば、そこに「在り続ける」だけです。

しかし、「これは自分が解決すべきことだ」と決めた瞬間
その汚れは、私たちにとっての「課題」に変わります。

そして、自らの手でそれを取り除くことで
乱れていた環境が整い、淀んでいた空気が澄み渡る。

その変化は、私たちの心に達成感と、
清々しいほどの心地よさをもたらしてくれます。

この「引き受ける」という姿勢こそが
掃除の核心であり、私たちが活動を続ける
原動力となっているのです。

「不快」を「快」へ。家づくりとの深い共通点

この感覚は、私たちが日々向き合っている
「家づくり」と驚くほど似ています。

お客様が家づくりやリフォームを考えられるとき
その根底には、現状の住まいに対する何かしらの
「不快」が存在します。

「冬の朝、暖房をつけてもなかなか部屋が暖まらない」
「窓の結露がひどく、毎朝拭き取るのが大変」
「収納が少なく、ものが片付かない」
「地震が来たら、この家は大丈夫だろうか」

これらは、住まいに存在する「不安」
掃除でいえば「汚れ」と同じです。

それらを放置すれば、
日々の暮らしの中に「不快」として在り続けます。

しかし、お客様が「この不快を解消したい」と決意し
私たちにご相談くださったとき
その課題は私たち作り手が「引き受けるべき」ものへと
変わります。

私たちは、お客様が抱える一つひとつの「不快」に
真摯に向き合い、専門的な知識と技術をもって
それを「快」へと転換させていく。

寒かった家は、高気密・高断熱のリフォームで
陽だまりのような暖かさに。
雑然としていた空間は、生活動線に合わせた収納計画で、
心にゆとりが生まれる場所に。

掃除によって物理的な汚れが取り除かれ、
空間が心地よくなるように
家づくりやリフォームは
暮らしの中にある様々な「不快」を取り除き
ご家族の毎日を健やかで快適なものへと変えていく。
その本質は、全く同じなのです。

基本性能の、その先にあるもの

もちろん、快適な住まいを実現するためには
耐震性、断熱性、気密性といった
「基本性能」が不可欠です。

これは、家づくりの土台であり
私たちが決して譲ることのできない部分です。

しかし、本当に心地よい暮らしは
その土台の上に築かれる「何か」によって
さらにその輝きを増すのではないでしょうか。

それが、まさに「掃除の心」に通じるものだと
私は考えています。

例えば、設計段階で「掃除のしやすさ」を
徹底的に考えること。

ホコリが溜まりにくいデザインや、
汚れがつきにくく手入れが簡単な素材を選ぶ。
それは、将来にわたってお客様が「快」の状態を
維持しやすくするための作り手としての
思いやりです。

そして何よりも大切なのは
お客様の言葉にならない「不快」や
将来への漠然とした「不安」までも
私たち作り手が深く理解し「引き受けよう」と
する姿勢だと思うのです。

「この間取りで、本当に家族の笑顔は増えるだろうか？」
「この素材は、年月が経つほどに味わいを増していくのだろうか？」