2026年2月15日
家づくりって、打合せ中はみんな幸せなんですよ。
図面を見て「わぁ〜!」ってなるし、パースを見て「理想!」ってなる。
…でもね。
住んでから泣くのも、家づくり。
そして泣く原因は、だいたい “暮らしの基本”を外した設計ミス です。
今日は、現場で何度も見てきた「あるある」事例を、プロの設計目線でまとめます。
笑えるけど笑えない。いや、笑ってる場合じゃないやつです。
1. 生活の基本に関わる設計ミス(初歩の初歩なのに…)
① トイレの位置:見える・聞こえる・気まずい
まず最初に言います。
トイレは“存在を消す”のが正義。
(存在してるのは分かってる。けど、気配は消してほしい。)
よくあるのがこの2パターン:
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玄関から便器がこんにちは
→ お客様「お邪魔しま…こんにちは(便器)」 -
LDKでご飯中に“トイレBGM”が流れる
→ 紙巻器の音、換気扇の音、ドアの開閉音…地味に気になる。
トイレは「行く場所」じゃなくて「戻ってくる場所」まで含めて設計。
LDKと直結、玄関正面、リビングのテレビの裏…こういうのは避けたい。
“気まずさ”って、毎日積み上がるとストレスになります。
これ、住んでから地味に効いてきます。
② 真っ暗な玄関:マンション仕様の“洞窟エントランス”
最近増えてます。
窓を減らしてコスト調整 → 玄関が洞窟化。
高性能窓が高いのは分かる。
でも、玄関って「家の第一印象」なんですよ。
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朝、出かけるとき:暗いとテンション下がる
-
帰宅したとき:暗いと疲れが増える
-
来客:暗いと「え、今日停電?」ってなる
照明だけに頼る玄関は、昼間でも“夜っぽい”。
採光って、贅沢じゃなくて生活の基本装備です。
窓のサイズや位置、吹抜けの使い方、室内窓など、手はある。
「窓が減ったなら、そのぶん光の設計を濃くする」
これがプロの仕事です。
③ ドアの「交通事故」:トイレから出たら正面衝突
これも地味に多い。
トイレの奥行き不足+開き勝手ミスで、
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廊下を歩く人
-
トイレから出る人
が ガチンコ正面衝突する間取り。
家の中で事故が起きるって、冷静に考えるとおかしいんですよ。
でも起きる。なぜなら「線(動線)」を見ずに「箱(部屋)」を作ってるから。
ドアは“開く”だけじゃない。
開いた先に人がいるか、壁があるか、逃げ場はあるかまで見ないといけない。
設計で防げる事故は、設計で防ぐ。
これ、基本です。
④ 収納計画の偏り:ファミクロは神、でも“雑多”は地獄
最近の間取りは、
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ファミリークローク
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パントリー
-
土間収納
が充実してるのに、なぜかこうなる:
ダンボール箱、季節家電、スーツケース、謎の贈答品の置き場がない
つまり、“雑多なもの”の避難場所がない家が増えてます。
綺麗な収納は「理想の暮らし」だけど、
雑多は「現実の暮らし」。
現実を入れる場所がないと、現実がリビングに出てくる。
結果、
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リビングの隅に段ボールタワー
-
使ってない家電が床に直置き
-
“仮置き”が永住権を取得
**納戸的な、なんでも入れられる“逃げ収納”**は、家の治安を守ります。
2. 温熱環境・太陽・敷地を無視した設計(性能以前の“設計の基礎”)
ここからは、見た目じゃ気づけないけど、
住んでから家計と快適性を削ってくるやつです。
① 日射遮蔽・日射取得:夏と冬で“やること真逆”
家を快適にする基本は超シンプル。
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夏:日射を入れない(遮蔽)
-
冬:日射を入れる(取得)
これができてないと、
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夏:暑い → エアコンが負ける → 電気代上がる
-
冬:寒い → 暖房が効かない → 電気代上がる
つまり一年中、家計が泣きます。
ポイントは、「性能の数値」より先に、
窓の向き・庇・外付け遮蔽・軒・周囲環境で8割決まること。
“マイナスをゼロにする遮蔽”
“ゼロをプラスにする取得”
この発想が設計に入ってないと、断熱を盛っても限界があります。
② 南面の凸凹:自分の影で自分を冷やす
南面に凹凸があると何が起きるか。
自分の家が、自分の窓を日陰にする。
冬に日射を取りたいのに、
出っ張りが影を落として日射を邪魔する。
しかも凹凸が増えると、
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外皮面積が増える → 熱が逃げやすい
-
施工が複雑 → コスト増
-
雨仕舞が難しい → リスク増
つまり、
暖房費アップ+工事費アップ+リスクアップの三段活用。
見た目の“かっこよさ”で南面をボコボコさせるのは、
だいたい後で財布が泣きます。
③ 近隣状況の無視:「南に窓があるのに日が当たらない」悲劇
これ、本当に多いです。
図面に、
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隣家が描いてない
-
正確な方位がない
-
周囲の建物高さが考慮されてない
こうなると何が起きるか。
「南に大きい窓をつけました!」
→ 住んだら隣家の影で一日中暗い
南に窓がある=日が当たる、じゃないんです。
“南の空が見える”ことが必要。
敷地って、土地単体じゃなくて「周囲込み」で敷地。
隣家・道路・電柱・塀・高低差まで含めて設計しないと、
太陽の取り扱いに失敗します。
④ 北側の窓:通風目的で大きくすると、夏に裏切られる
「風を通したいから北側にも大きい窓を…」
気持ちは分かる。でも、ここは設計の落とし穴。
夏の西日は、北面にも回り込むことがあります。
特に夕方〜夜、北面でも日射を食らって室温が上がるケースがある。
だから基本としては、
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北側の窓は必要最小限
-
目的(採光?通風?換気?)を明確に
-
どうしても大きくするなら遮蔽やガラス選定、位置の工夫
「大きければ良い」は、窓には通用しません。
窓は“装置”。大きさも向きも、目的に合わせるのがプロです。
3. 構造・耐久性を無視した“デザイン優先”(家の寿命を削るやつ)
ここはズバッと言います。
見た目だけの家は、長持ちしない。
① 構造計画の破綻:上下の壁が揃ってない(直下率が低い)
耐震等級3を狙うなら、
「壁量」だけじゃなくて「構造の揃い方」が超重要。
上下階で壁の位置がバラバラだと、地震の力が伝わりにくい。
結果、構造的に無理が出る。
間取りを優先して後から構造を合わせようとすると、
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変なところに耐力壁
-
不自然な梁
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開口の制限
-
コストアップ
になりがち。
構造は後付けじゃない。
**最初から“構造と間取りを一体で考える”**のが合理的です。
② 軒ゼロ住宅のリスク:見た目はスッキリ、でも雨は容赦ない

軒ゼロって、見た目はシュッとしてます。
でも、雨は“デザインを見て降ってくれない”。
軒がないと、
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外壁が濡れやすい
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サッシまわりの負担が増える
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雨仕舞がシビアになる
-
劣化が早まるリスクが上がる
特に日本は雨が多い。
軒は“傘”です。
傘なしで毎日雨の中に立つ家…そりゃ傷みます。
デザインを優先するなら、
耐久性のディテールまでセットでやる。
ここまでやって初めて“プロの設計”です。
③ 複雑な形状:ボコボコさせると、だいたい全部悪化する
平面・屋根の形を無意味に複雑にすると、
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工事費が上がる
-
熱損失が増える
-
雨漏りリスクが増える
-
施工精度の要求が上がる(=現場負担も増える)
良いこと、あんまりない。
家は工業製品じゃなく、現場で作る“建築”。
複雑なほど、現場の難易度も上がります。
だから基本は、
シンプルイズベスト。
シンプルにして、そのぶん「窓」「断熱」「日射」「動線」「収納」「構造」を練る。
これが“賢いコストの使い方”です。
4. 将来を見据えていない間取り:「今だけ最適」は、後で苦しい
子育て世代の家づくりは、要望が山ほどあります。
それ自体は当然。
でも、よくあるのが、
“今この瞬間の便利”だけに最適化して
数十年後の暮らしを想定していない
例を挙げると、
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子どもが巣立ったら部屋が余る
-
2階中心の生活が将来きつい
-
収納が子育て仕様に偏る
-
老後に必要な動線(寝室〜トイレなど)が遠い
家は、建てた瞬間がゴールじゃなく、
**住み続ける“時間の器”**です。
「10年後、20年後、30年後」の生活シーンを、
設計段階で一度は想像しておく。
これだけで、将来の後悔がかなり減ります。
まとめ:良い間取りは“要望”だけでできていない
良い間取りって、要望を叶えるだけじゃないんです。
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生活の基本(見えない・聞こえない・ぶつからない)
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採光(玄関を洞窟にしない)
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収納(理想と現実の両方を入れる)
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温熱(夏は遮り、冬は取り込む)
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敷地(隣家と方位を含めて考える)
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構造(直下率・合理性・耐震)
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耐久(軒・雨仕舞・形状のシンプルさ)
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将来(今だけ最適にしない)
これらを 同時にバランスよく成立させるのが設計です。
そして残念ながら、多くの設計は
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「今の要望」を満たすこと
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「あとで手直し」すること
に寄ってしまい、
ゼロベースで最適解を組み直すことを避けがち。
でも家は、住み始めたらやり直しがきかない。
だからこそ最初に、プロが“暮らしの地雷”を全部潰しておく必要がある。
おまけ:このブログを読んだ人が、打合せで使える質問集
最後に、施主さんが打合せで確認できる「刺さる質問」を置いておきます。
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玄関は昼間、照明なしで明るいですか?(採光の根拠は?)
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トイレの音、LDKでどれくらい聞こえますか?(位置と遮音)
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トイレのドア、廊下の動線と干渉しませんか?(交通事故)
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“雑多収納(納戸)”はどこですか?(段ボール・季節家電)
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夏の日射遮蔽は何でやりますか?(庇?外付け?設計?)
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冬の日射取得はできますか?(南面の空は見えてますか?)
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隣家の影の影響はシミュレーションしましたか?(方位・周辺環境)
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直下率や耐震等級3の根拠は?(構造計画の合理性)
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軒ゼロなら、雨仕舞・耐久の対策は何ですか?
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20年後の生活動線(寝室〜トイレ)は成立しますか?
この質問に“図面と根拠で”答えられる会社は、かなり信頼できます。









